さまざまな種類があり、それぞれが違った味、香りを楽しむことができる日本茶。 日常的に飲んでいる方も多くいると思いますが、実はそれぞれの種類に合ったお茶の淹れ方があるのをご存知でしょうか?細かく言えば、茶園ごと、また製法ごとに推奨される淹れ方がありますが、今回は、日本茶の種類(煎茶、番茶・ほうじ茶、玉露、抹茶、玄米茶など)によって大別される、おすすめの淹れ方について、まとめました。最適な淹れ方を覚えて、日本茶の特徴を引き出し、よりおいしく味わってみましょう。
日本茶をおいしく淹れるための秘訣
日本茶は、その種類によって使用する茶葉の部位や収穫期、製法などが異なり、味や香りが変わります。日本茶のおいしさを決めるのは、香りやうま味、苦みや渋みのバランスです。どの部分が強く出るかによって、大きく茶の印象が変わるのです。それぞれのお茶の特徴を存分に引き出すためにも、最後の一手間である淹れ方が大切になります。
煎茶の淹れ方
日本茶の中でも最もポピュラーな煎茶は、さわやかな香りとうま味、渋味があるのが特徴です。
①やかんやポットでお湯を沸かす。しっかりと沸騰させてから、保湿ポットにうつす。
②あらかじめ茶碗を温める。保温ポットに移したお湯を、用意した人数分の茶碗(約100ml)に入れる。量は茶碗の8分目までが目安。お湯を入れることで、茶碗を温めておくことができる。
③急須に茶葉をとる。茶葉の量の目安は、ひとりあたり約2~3g(ティースプーン1杯程度)。
④茶碗のお湯を急須にうつす。この時点で、お湯の温度が70度程度に下がっていることが理想。
⑤急須にお湯をうつしたら、しばらく待つ。普通煎茶なら1~2分、深蒸し煎茶なら30秒~1分ほどが目安。
⑥先ほど温めていた茶碗にお茶を注ぐ。茶碗が複数ある場合は、「廻し注ぎ」で静かに注ぐ。
※廻し注ぎ…茶碗が2個以上ある場合に行う、お茶の注ぎ方。たとえば、3つの茶碗(A、B、C)がある場合、A→B→C、C→B→Aの順番に注ぐことを繰り返す。少しずつ順番に注ぐことで、お茶の味や量を均等にすることができる。
番茶の淹れ方・ほうじ茶の淹れ方
番茶やほうじ茶は、さっぱりとした味と香ばしい香りが特徴のお茶です。
①やかんやポットで、しっかり沸騰するまでお湯をわかす。
②茶葉を急須に入れる。茶葉の量の目安は、約3g(ティースプーン山盛り1杯ほど)。
③沸騰したお湯を急須に入れる。
④お湯を入れたら30秒ほど待ち、廻し注ぎで人数分の茶碗に注ぐ。ほうじ茶や番茶を入れるときのポイントは、熱いお湯を使うこと、そして手早く注ぐことです。使う茶碗は、厚手のものがおすすめです。
玉露の淹れ方
玉露は、日本茶の中でも高級茶として知られています。強いうま味の一方で、渋みや苦みが少ないことが特徴です。玉露をおいしく飲むためには、沸騰させてから50~60℃まで冷ましゆっくり入れると良いでしょう。
①やかんまたはポットでお湯を沸騰するまで沸かし、保湿ポットにうつす。
②湯冷ましにお湯を入れて、お湯を冷ます。湯冷ましがなければ、急須・マグカップでもOK。
③お湯が冷めたら、人数分の小ぶりの茶碗(40mlくらいのもの)に入れて、茶碗を温める。
④茶葉を急須に入れる。茶葉の量の目安は、約3g~5g(ティースプーンで中盛り)ほど。
⑤お湯が約50~60℃まで冷めたら、急須にうつす(器から器へ湯を移すごとに、約5~10℃冷ますことができる)。
⑥2分~2分半待ってから、廻し注ぎで静かにお茶を注ぐ。
玉露のおいしさを引き出すためには、煎茶よりも低い温度のお湯で、ゆっくりと入れるのがポイントです。
抹茶の淹れ方
茶道の席で使われる抹茶は、専用の茶器が必要です。
必要なもの…茶筅、抹茶茶碗(なければカフェオレボウルなど)、茶杓または計量スプーン、湯冷まし(なければ計量カップなど)、抹茶ふるい缶または茶こし、あれば茶筅くせ直し
①抹茶の量を調節。1人当たりの量の目安は、茶筅2杯程度(ティースプーンに軽く1杯、約1.5g)。好みで調節する。
②1人分の抹茶を茶こしに入れて、茶杓(または計量スプーン)を使って抹茶茶碗にふるい落とす。
③お湯を用意する。水の量は1人あたり約70mlが目安。水は硬度の低い軟水が最適だが、どんな水でもいったん沸騰させる。
④お湯を冷ます。冬季は熱湯を湯冷ましに1回(75~85℃)、夏季は2回(70~80℃)うつす。
⑤お茶を点てる。お湯を入れ、茶碗の底にある抹茶を、茶筅を使って分散させるように混ぜる。次に茶筅を底から少し上げて、お湯が回らないように気をつけながら、手首を前後に振る。
⑥お茶の泡が立ったら、泡の表面まで茶筅の先を上げて、ゆっくりと動かして細かい泡にする。仕上げに、泡が中央に盛り上がるように、茶筅を静かに上げる。
玄米茶の淹れ方
玄米茶は、炒った玄米の香りが香ばしいお茶です。
①2人分の茶葉(約4g・ティースプーン山盛り1杯程度)を急須に入れる。
②やかんやポットでお湯をしっかりと沸騰させ、茶葉の入った急須に入れる。
③30秒程度時間を置いて、廻し注ぎで茶碗に注ぐ。
玄米茶の香りを楽しむため、高温で淹れることがポイントです。
まとめ
日本茶を淹れて飲むことで、ほっと一息つく時間が生まれます。淹れ方にもこだわれば、その時間はさらに豊かなものになるでしょう。本記事で紹介した日本茶のおいしい淹れ方を、ぜひお試しください。日本茶それぞれの魅力が深まり、リラックスした時間を楽しむことができるでしょう。