日本茶とは。日本茶の種類と特徴について。

日本茶とは。日本茶の種類と特徴について。

知れば知るほど、面白い日本茶の世界。栽培や加工の方法により、種類が分けられ、味、香りも全く異なってきます。渋味が苦手な方でもおいしく飲めるものや、圧倒的な香ばしさが楽しめるお茶など。お茶は種類が豊富で、飲み手を選ばない懐の広さが特徴です。

今回は、日本茶の基本的な知識と主な種類についてご紹介。それぞれの特徴に触れています。ぜひ、お茶選びの参考にしてみてください。

目次

1.そもそもの日本茶とは
2.日本茶(煎茶)ができるまで
3.日本茶の種類

 

そもそもの日本茶とは

日本茶

日本茶の歴史、その起源は奈良時代に遡ります。中国より渡来したお茶の文化が広まり、鎌倉時代頃から茶樹の栽培が盛んに行われはじめ、時代の流行とともに日本各地で愛飲されるようになりました。 茶葉の加工(加熱)方法は大きく「蒸し」、「炒り」がありますが、日本茶は一般的に蒸して作る緑茶を指す呼称として用いられることが多く、炒り(釜炒り)製法を用いる日本以外の国(特に茶の発祥地として知られる中国)の緑茶と区別して用いられています。日本茶と中国茶は同じチャノキ(茶樹)の葉を使用していますが、その味、香り、色の違いの大部分は発酵の止め方で決まり、日本茶と中国茶の製法により生まれます。緑茶のことを別名「不発酵茶」と呼び、茶葉を蒸したり炒ったりして加熱することで、発酵を止めたお茶全般をさします。日本茶の茶葉やお茶が鮮やかな緑色なのは、蒸して発酵を止めていることによるものです。

 

日本茶(煎茶)ができるまで

皆さんが普段飲む日本茶が作られる工程は、単純に「茶葉を摘み取って乾燥させて終わり」ではありません。摘む・蒸す・揉む・乾かすと複数の工程を経て、荒茶と呼ばれる、皆さんが商品として手に取るお茶の前段階の状態になります。商品として店頭に並ぶお茶は仕上げ茶と呼ばれており、荒茶の状態の茶葉に合組・選別・火入れなどの更なる工程を加え作られます。最も馴染みの深い日本茶である「煎茶」ができるまでの工程について紹介すると、

①茶葉を摘む

茶摘みは手で摘む「手摘み」と「機械摘み」があり、指先で丁寧に摘んでいく「手摘み茶」は希少であり高価なお茶です。また、産地ごとに茶を摘む時期は異なり、緯度の低い鹿児島では3月〜4月、静岡では4月下旬〜5月上旬に新茶(一番茶)シーズンを迎えます。

②蒸す

茶葉が発酵しないよう、蒸して茶葉の酸化酵素のはたらきを止めるための工程が蒸しの作業です。茶葉が新鮮なうちに行う必要があるため、茶摘みの後、20時間以内に行われます。

③揉みと乾燥

蒸した茶葉を揉むことで、茶葉の繊維をほぐしつつ、お茶内部の水分を揉み出し、一定の温度を保ったまま乾燥させることで、健康成分が維持されたまま乾いていきます。揉む工程も細かく分けると4つの段階があり、作業内容はそれぞれ以下のとおりです。

・粗揉(そじゅう)…熱風を当てながら、強く揉んで茶葉を乾かす
・揉捻(じゅうねん)…力を加えながら揉み、茶葉の水分量を均一にする
・中揉(ちゅうじゅう)…再度、熱風を当てながら揉み、お茶を縒(よ)る
・精揉(せいじゅう)…茶葉に熱と力を加え、細長く成形しながら揉む

生茶葉の4分の1~5分の1程度の水分量になるまでしっかり乾かすと、荒茶と呼ばれる状態になります。

④選別

荒茶は、そのままの状態では茎や粉など香りが異なる部分も含まれているため、選別作業で取り除かなくてはなりません。また、大きさ自体も大小さまざまなので、ふるい分けて切断し、形をきれいに整えていきます。

⑤火入れ

荒茶をさらに乾燥させ、お茶特有の味や香りを引き出す作業が「火入れ」です。火入れの仕方によって、同じお茶でも風味が大きく変わります。火入れは製茶問屋の腕の見せどころだといえるでしょう。

⑥合組(ごうぐみ)

合組は、荒茶をブレンドすることで、均一な品質で安定した量の製品を提供するための重要な作業です。また、産地・品種・蒸し具合などが違う荒茶の特徴をしっかりと見定めて鑑別することで、より単一では作れない味や香りのお茶を作り出します。

⑦包装と出荷

仕上がったお茶は、計量後に包装して出荷されます。小売店を経て、あなたの手元に届きます。

 

日本茶の種類

日本茶の種類

同じチャノキ(茶樹)の葉を使用した日本茶でも、栽培方法や加工方法でさまざまな種類に分類することができます。風味なども異なるため、シーンや好みに合わせて使い分けてみてください。 ここでは7種類の日本茶について、特徴と飲み方のコツをご紹介します。

煎茶

日本で最も流通しているお茶で、ペットボトルの原料も煎茶です。緑茶といえば煎茶をイメージする方は多いのではないでしょうか。煎茶には、以下の2種類があります。 ・普通煎茶…蒸し時間が標準的のごく一般的な煎茶 ・深蒸し煎茶…蒸し時間が普通煎茶の2~3倍長い 深蒸し煎茶は長く蒸すことで渋みを抑えており、まろやかで濃い味を楽しみたい方に最適です。

玉露

茶葉の新芽が出たときに、「よしず」や「こも」で日光を遮って作られる高品質のお茶です。光合成を抑えることで渋みや苦み成分が作られにくくなり、うまみの強いまろやかな味に仕上がります。最大の特徴は「覆い香(おおいか)」と呼ばれる独特の香りです。 摘み取った茶葉をお茶に加工する工程は、煎茶と変わりません。お茶をいれるときは煎茶よりも若干低い湯温(50~60度)でいれることで玉露が持つ旨味を十分に引き出すことができます。

かぶせ茶

玉露と同じく、栽培途中で日光を遮る方法で作られますが、遮光期間が玉露と比較し短いのが特徴です。玉露が20日〜30日の遮光期間を設けるのに対し、かぶせ茶は7日~14日程度と約半分の期間のみで、煎茶と玉露の中間のような味わいをしています。 玉露ほどのまろやかさ、覆い香はありませんが、煎茶に比べると苦みが少なく、旨味を有し、飲みやすい点が魅力です。

蒸し製玉緑茶

別名「グリ茶」とも呼ばれる蒸し製玉緑茶は、煎茶を作る過程で茶葉の形を整える「精揉」工程がない昔ながらのお茶です。そのため「より」の状態に成形される煎茶と異なり、茶葉の形が丸みを帯びています。 さわやかな香りとコクのある味が特徴的で、煎茶と同じ鮮やかさと、のど越しの良さを持つお茶です。

碾茶(てんちゃ)

玉露やかぶせ茶と同様、日光を遮って作られる茶葉です。かぶせ茶の場合は10日前後の遮光期間ですが、碾茶は玉露と同じく20日以上も日光を遮って育てられるため、うま味成分が多く作られています。 蒸した後は揉まず、葉そのままの形で乾燥させ、茎や葉脈など不要なものを取り除きます。出来上がった碾茶を臼で挽いて粉にしたものが抹茶です。

番茶

一般的な煎茶の収穫時期よりも遅い時期に摘まれたものを、番茶と呼びます。夏~秋頃に摘み取り作業が行われるため、日光に照らされた期間(光合成していた時間)が長く、渋みを多く感じられることが特徴です。 徳島県の阿波番茶・京都府の京番茶・足助町(愛知県)の足助寒茶など、地方によってこまかな製法が異なりますが、比較的安価で手に入れることができます。

再加工茶

中国茶の花茶のように、日本茶にも再度加工を加えることでまったく異なる魅力を得たお茶が存在します。たとえば「ほうじ茶」と「玄米茶」の2種類は、多くの方が味わったことのあるお茶ではないでしょうか。

ほうじ茶

古くは、在庫として保管してあった煎茶や番茶などを焙じたお茶です。 ※最近では、ほうじ茶専用に茶を育てるなど、市場のニーズに合わせた商品も開発されています。

強火で焙じることで香ばしい香りが引き出され、緑茶とは違った味、香りを楽しめます。関西では「番茶」という名で呼ばれる事があります。 昔はお客様にお出しするお茶ではないとされていましたが、近年は食後にほうじ茶を出す飲食店も多く、飲みやすい味が幅広い世代で愛されています。

玄米茶

番茶や煎茶に玄米を混ぜたお茶で、玄米の香ばしさと緑茶のさわやかさを両方楽しむことのできる点が魅力です。加えられる玄米も、水に一度浸して蒸したものが使われています。 玄米を加えることで1杯あたりの茶葉の使用量が減るため、カフェイン摂取量を控えたい方にもおすすめです。

まとめ

日本茶のルーツは中国にありますが、中国茶と日本茶を比べるとその違いは一目瞭然です。基本的に発酵を止め、茶葉を蒸して作る日本茶は、緑色の水色をしたものが多く、特有のうま味と渋味を味わえるバランスが特徴です。

今回この記事で紹介したように、一括りに日本茶と称しても、種類はさまざまです。多種多彩な味、香り、色の違いがあり、選ぶ楽しみがあります。ぜひ、自分に合った日本茶を見つけてみてください。

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